Protected Audience API を使用して、プライバシーを最優先とする先進的なオーディエンス ソリューションを開発した Audigent と NextRoll

概要
- Experian グループの Audigent は NextRoll と共同で、Protected Audience API を活用して画期的なプライバシー最優先のオーディエンス ターゲティング ソリューションを開発し、AdRoll デマンドサイド プラットフォーム(DSP)で Audigent のインタレスト グループを使用できるようにしました。
- NextRoll で実装済みのプライバシー サンドボックスと、10 億超のブラウザのオーディエンス候補から事前作成した Audigent の数千ものインタレスト グループを組み合わせることで、大規模なテストをスムーズに進めて、42,000 のドメインで約 500 万インプレッションを配信するキャンぺーンを実現しました。
- このコラボレーションにより、ユーザーのプライバシーを保護しながら、上流ファネルのオーディエンス ターゲティングにおける Protected Audience API の可能性を検証し、業界にとって重要なインサイトを得ることができました。

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パートナーシップを通じて新たな可能性を開拓
Audigent は、プライバシー保護に対する消費者の期待の高まりに応えて、デジタル広告を取り巻く状況が変わりつつあることを認識していました。同社はデータ テクノロジーのトップ企業として、優秀な技術チームと何百万ものウェブサイトの膨大なコードベースを擁し、広告主やパブリッシャー、パートナーが効果的なソリューションを開発、拡大できるようサポートしています。Audigent では、エコシステムにおける Chrome の役割を理解し、パートナーがサードパーティ Cookie を使用しない新しい方法でデータ交換やオーディエンス ターゲティング、収益化を行えるようするため、プライバシー サンドボックスへの投資を行っていました。その中で、Protected Audience API を使用してデータの規模、広がり、精度を見極め、プログラマティック エコシステムでこれらのデータをどう活用し収益化できるか検証したいと考えていました。
NextRoll は、プライバシー サンドボックス テクノロジーを早くから導入していたマーケティング テクノロジー企業で、消費者のプライバシー保護を重視し、独立系パブリッシャーの未来を守るという Audigent のビジョンを共有しています。初期のテストを踏まえ、NextRoll は AdRoll プラットフォームの機能を拡張して、広告代理店、広告主、パブリッシャー、オーディエンス データ プロバイダといった業界の他の事業者向けの新たなユースケースを開拓したいと考えました。こうして目標を同じくする Audigent と共同で、Protected Audience API を使用して、サードパーティ Cookie に頼らないプライバシー最優先のソリューションを開発し、AdRoll デマンドサイド プラットフォーム(DSP)で Audigent のインタレスト グループを活用できるようにしました。

「私たち業界は、オンライン広告が変化している事実を受け入れる必要があります。ブランドや広告代理店パートナーがメディア購入において継続性、拡張性、パフォーマンスを維持できるよう、あらゆる手を尽くす必要があります。Protected Audience とインタレスト グループによって、私たちのようなデータ企業が消費者のプライバシーに配慮しながらデータを大規模に活用し続けられる新たな道が切り開かれました。プライバシー サンドボックスにおけるメディア購入パートナーのデータアセットの基盤となり、このインフラストラクチャをデータ パートナーに提供できることを嬉しく思います。」
コラボレーションによる Protected Audience API のテストと検証
Audigent は、オーディエンス ターゲティングの新しいパラダイムとして Protected Audience API を検討した際、すぐに利用可能な DSP パートナーがいないという、特有の課題に直面しました。インタレスト グループの作成と購入のコア機能を検証するため、同社では基本的な入札インフラストラクチャを自社で構築することにしました。このことは、Protected Audience API の導入を推進し、概念実証を確立するという同社の姿勢をよく示しています。
NextRoll では、すでにプライバシー サンドボックス テクノロジーの統合に投資しており、参加に不可欠なコンポーネントを構築していたため、連携しサポートする準備は整っていました。既存のインフラストラクチャによってインタレスト グループの委任にすばやく適応できたことから、早期に導入し準備する重要性がよくわかります。
テスト フレームワークの構築:
規模を重視して行われた Audigent のテストでは、15 億を超える Chrome ブラウザで 1,100 以上のインタレスト グループを活用することに成功しました。これにより、Protected Audience API フレームワークで大規模なデータを処理できることが示されました。
Audigent と NextRoll は、この共同テストで AdRoll DSP を介して Audigent のデータを活用できるかの検証に加えて、購入された広告枠および価格の決定方法と取引されたエクスチェンジを明らかにすることを目指しました。その中で、Audigent のパブリッシャー サイト ネットワークのインタレスト グループにブラウザを結び付け、2 週間のキャンペーンを通じ 42,000 のドメインで約 500 万インプレッションを配信しました。
しかし、この統合プロセスには困難も伴いました。Audigent は、インタレスト グループの委任割り当ての制限、JavaScript API の複雑さ、デバッグの難しさ、インタレスト グループの有効期間の短さといった制約に直面しました。NextRoll は、ブラウザ内で扱えるインタレスト グループの数やサイズの制約に沿って設計を行わなければなりませんでした。
NextRoll は入念な設計と計画によりインタレスト グループに関する制約に対応し、Audigent はプライバシー サンドボックス チームとフィードバックを積極的に共有しました。Audigent からの情報提供は、エコシステム全体からのフィードバックと併せて、テクノロジーの継続的な改善に役立てられました。その一例として、インタレスト グループの有効期間が 90 日間に延長されました。
結果と学び
Audigent と NextRoll の取り組みは、プライバシー サンドボックス イニシアチブにおけるコラボレーションの有効性を示しています。両社の専門知識とリソースを組み合わせることで、テストを効果的に進め、広告業界全体にとって貴重なインサイトを得ることができました。
2024 年 3 月に行われた Audigent の初期のテストでは、Protected Audience API フレームワーク内でインタレスト グループを大規模に作成できることが証明されました。IAB Tech Lab で発表されたこれらの調査結果は、大規模なオーディエンス ターゲティングにおけるこのテクノロジーの可能性を明確に示すとともに、実現可能なデータ活用の規模を見極める Audigent の計画において重要な一歩となりました。
この共同テストではまた、上流ファネルのオーディエンス ターゲティングにおける Protected Audience API の可能性も実証されました。このテクノロジーはそれまで、リマーケティングを主なユースケースとしていました。テストでは他にも、Protected Audience の機能において、インタレスト グループの構成を広告主や広告代理店に合わせてカスタマイズする必要性が明らかとなり、API の改善に向けた新たな提案として、プライバシー サンドボックス チームと共有されました。今後改善が進むと、AdRoll などの DSP で、データ管理プラットフォーム(DMP)のデータを使用して作成されたインタレスト グループを有効に活用できるようになる可能性があります。
Audigent では今後、テストの規模を拡大し、NextRoll とともにキャンペーンの最適化手法を探り、CPM の変動性をテストする予定です。NextRoll もまた、プライバシー サンドボックスの取り組みは現在進行形で、やるべきことはまだまだあると認識しています。しかしながら、Audigent との提携は業界にとって大きな一歩であり、コラボレーションとイノベーションを続けることが重要と考えています。

「プライバシー サンドボックス イニシアチブに長く参加してきた当社は、プライバシー サンドボックスの API がサードパーティ Cookie に代わるプライバシーに配慮した手段になり得ると信じています。やるべきことはまだありますが、Audigent との提携は業界にとって大きな一歩となっています。」
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